
脱腸(そけいヘルニア)について、よく患者様から頂くご質問と回答をまとめました。


米国では、脱腸(そけいヘルニア)の8割以上が日帰り手術で行われています。
日本でも、最近は日帰り手術が盛んに行われるようになってきました。
しかし実際では短期入院(手術当日入院、翌日退院するシステム) を取り入れている病院が多いようです。
入院期間は患者さんのご希望に沿って決めている場合が多いようですね。
手術を受けられる方の生活環境、体力、年齢なども考慮して手術当日にお帰り頂けるかを判断しています。誰もが日帰りの方が良いという訳ではありません。
脱腸(そけいヘルニア)の手術自体は、さほど難しいものではなく外科手術としてはポピュラーなもののひとつです。
手術後は、痛み止めなどのお薬を飲んでいただくことで3〜4日で通常の生活に戻る事が可能です(職業が力仕事の場合を除く)。
抜糸もなく、手術後の社会復帰が早いのが特徴です。
手術方法 |
長所 |
短所 |
従来法 (バッシーニ法) |
・人工補強材を用いない |
・術後の痛み、つっぱり感がやや多い。
・術後に安静期間が必要。
・再発がやや多い(2〜10%)。 |
(メッシュ&プラグ法)
クーゲル法
ダイレクトクーゲル法 |
・術後の痛み、つっぱり感が少ない。
・早期に社会復帰が可能
・再発が少ない(1〜5%) |
・感染がある場合の使用が制限される。 |
脱腸(そけいヘルニア)の手術は、クーゲル法という手術方法で行います。
従来の手術方法に比べ、再発が少なく、早期の社会復帰が可能です。メッシュ&プラグ法は再発、術後の痛みが他の方法よりわずかに多いため。当クリニックでは現在行っておりません。


脱腸(そけいヘルニア)が治るお薬はありません。手術をすることで簡単に脱腸は治ります。
ヘルニアバンドといった治療器具もありますが、進行を止めるのに使用するだけで治療するものではありません。バンドを着けているときは出てきませんが、常に着けている必要があります。
また、身体を鍛えて治るというのもありません。


脱腸(そけいヘルニア)状態を放っておくと、飛び出た脱腸(そけいヘルニア)部分が、筋肉でしめつけられ戻らなくなった状態になってしまいます。この状態を、嵌頓(かんとん)状態といいます。
腸が嵌頓を起こすと、腸の中を食べ物が流れていかなくなってしまい腸閉塞を起こします。 また、しめつけられた腸に血液が流れなくなり、
腸の組織が死んでしまい(壊死)、命に関わる場合もあります。
嵌頓は、いつ起こるのか予想できません。
嵌頓が起きた場合には緊急手術が必要になります。腸の壊死があった場合には腸を切除しなくてはならないこともあり、長期の入院治療が必要となります。

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